2017.11.25〜26
China Rowing Open 大会レポート 個人編@

浅沼遼平(3年・COX)


 今回の中国遠征で感じたことを何点か挙げていきたいと思います。
 まず、一橋端艇部の環境はとても整っているなと実感したことが第一にあります。今回中国で支給された船とオールはお世辞にも良いものとは言えませんでした。特にオールに関して言えば、ブレードがかなり前傾しておりとてもまともに漕げるようなものではなかったです。そこで私たちは現地のスタッフに交渉することでオールの交換に成功しました。また食事面では中国独特の風味の料理に苦戦し、アスリートとしての栄養摂取を十分に行えなかったように感じます。一橋の艇庫にずっといると、良い船とオール、栄養管理された食事を当たり前のように受け取ってしまいますが、一橋の艇庫の外に身を置くことで客観的に一橋の環境の良さを捉えることができ、身を持ってボートだけに集中できる環境への感謝の気持ちを持つことができました。これはボートに向き合う姿勢をもう一度改めさせてくれるきっかけになったと思います。
 次に、これは海外のクルーをみて感じたことですが「船を動かす」というシンプルな意識と目的がとても大事だということです。日本の漕ぎは、緻密な理論に基づいて作られているように思います。ですが、その理論に沿って漕ぎを作ることが最大の目的になってはいけないと思いました。船を一番速く進めることが正義であり、それをシンプルにもっと追究していくべきだと感じました。今回みた海外の選手たちは決して技術的にうまい訳では無かったですが、純粋に船を速く動かそうという意識だけで漕いでいるように見えて、実際そんなに遅いわけではありませんでした。この発見は直で海外の大学生の漕ぎをみてみないと感じられないと思いました。
 最後に、一番大きな収穫かつ今後につながるものだと思うのですが、自分たちのできることの幅が大きく広がったことです。実際、遠征の2週間前に遠征に行きたいとは言ったものの、準備段階の途中で必ずどこかでつまずいて実現しないだろうと個人的には思っていました。もちろんこの遠征はOBの季武さんのご尽力無しには実現し得なかったものなのですが、この遠征を2週間という準備期間の中で滞りなく終えることができたことは自分たちの中でとても大きな自信になりました。今後の部の運営の中でも、今まで取り組んでこなかったことでもやりたいと思えることは何でも実現できるのだとわかったことで活きてくると思います。

金澤晃太郎(3年・代表幹事)


 私がこの遠征で得た・感じたと思うことは2つあります。
 第一にこの遠征を通して大きな自信を得ることができました。遠征に行くということが決定した当初は目の前には課題が山積みであるように感じられ、どこから手を付ければいいのかわからないような状況でした。しかし実際に状況を整理し、取り組んでいくにつれて自分たちのやるべきことが明確化されていき、結果として問題らしい問題もなく遠征を終えることができました。もちろんこの裏には季武さんや現地のスタッフの方々といった多くの人々の尽力があったことは言うまでもありませんが、それでも少なからず自分たちの手によってこの遠征が実現したという事実は今後の端艇部における取り組みへの認識を大きく変化させるに足るものであったと感じています。
 2点目はボートに対する中国との認識の差を強く感じました。これはいい面も悪い面も含めてです。まず、中国の人々のボートに対する扱いは大変雑であるように感じました。これは今大会の参加者層によるものかもしれませんが、使用後も艇は洗わない、あちこちぶつけても気にしない、船台に艇を落としてしまう場面も数度目撃しました(さすがにこれには皆ショックを受けた様子でしたが)。公式練習の際にはピカピカだった船が日を追うごとにみるみる汚れていく様は大変心苦しいものがありました。部内でも最近は非常に事故が多いですが、こうした中国の姿を反面教師にもう一度気を引き締めていかねばならないと強く感じさせられました。一方で、国内でボートをメジャーにしようという中国の姿勢には目を見張りました。日本の全日本級の大会ですら及びもつかない盛大なイベントとしての大会は普段ボートに関心のない人々であっても思わず惹きつけられるであろうものでした。事実会場には多くのメディアが集まり、500メートル超の一般観覧区域は人で埋め尽くされていました。こうした大会の様子を見ていると、大会が内輪のものとなり、他者の興味を引き付けることを怠った日本のボートのあり方には疑問を感じざるを得ませんでした。

伊豫田航(3年・漕手)


 今回の中国遠征を通じて個人的に得られたものとして大きく分けて3つあります。
 まず一つ目は、外国人に対する恐怖感をかなり払拭できたことです。言語が異なるので得体が知れないという理由から、これまで私は外国人に対して恐怖感を抱いていました。今回の遠征で私がボート以外の面で目標としていたのはこの恐怖感を取り払うことでした。現地の警備員や審判は英語が通じず、コミュニケーションが取れなかったため、あまり恐怖感は拭えませんでした。しかし、ともにレースをしたアジアの大学生は英語でコミュニケーションが取ることができたうえに、とてもフレンドリーに接してくれました。一緒にダンスをしたりワインを飲んだりすることで徐々に彼らに対する警戒心が和らいでいきました。つたない英語ではありましたが、それでも外国人とコミュニケーションをとって、同じ楽しみを共有できたというのは非常によい経験となりました。
 二つ目は、アジアの大学生はやはり熱心に勉強をしているということです。練習の頻度や時間などを尋ねても、一橋ほど練習しているチームは見当たりませんでした。それは彼らのボートに対する情熱が足りないというわけではなく、単に勉強に時間をとられて練習ができていないようです。おそらく日本と違って、アジアの国々では大学に行くことができるのは限られたエリートだけなのでしょう。本当に勉強をするために大学に進学しているのです。われわれもボートの練習を減らしてもっと勉強しようというつもりは全くありませんが、勉強に対する彼らの姿勢は見習うべきだと思います。世間からはエリートと呼ばれる一橋大学の学生として恥ずかしくないような教養は身につけなければならないなと感じました。
 三つ目は、国民性の違いです。短期間ではあるものの中国で過ごしてみて、中国人の国民性が少しわかったような気がします。少なくとも日本人は中国人よりも細かいなと感じます。時間には分単位で気を遣うし、並ぶときはしっかりと整列します。東日本大震災の際に、避難所での配給できちんと整列する日本人に外国人が驚くのも当然でしょう。普段日本で暮らしている私達にとってそれは当たり前のことで、むしろ中国人が大雑把すぎると感じてしまいます。ですが、日本のその緻密さが精神的な疲れをためてしまうこともあります。中国はしょっちゅうバスの時間は変わるし閉会式もグダグダだったけれども、それにはそれの良さがあるのかなという風に感じています。
 このような発見は日本を出て異文化交流をしたことで得られたものです。異文化で暮らすのは新鮮な発見ばかりで、非常に楽しかったです。今回の遠征に参加できたことを嬉しく感じますし、それを支えてくださった全ての方々に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。